額改定請求
障害年金の額改定請求とは、障害年金の受給権がある人が上位の等級を目指して請求することをいいます。
例えば、障害厚生年金3級を受給している人が、2級(または1級)を目指して請求する場合です。
この額改定請求が可能な時期は、「厚生労働大臣の審査を受けた日から1年を経過した日後」とされています。但し、「障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合」は「1年を経過した日後」以内でも認められます。この厚生労働省令で定める場合とは、手術などはっきりとした場合に限定されています(詳細は、下記【厚生年金保険法施行規則】参照)。
なお、障害年金の受給権者が更新のときに障害状態確認届(診断書)を提出しますが、同じ等級のままであったときは「審査」をしていない扱いとなり、「1年を経過した日」を待つ必要はなく、すぐに額改定請求が可能です。具体的な「審査を受けた日」については、事前に年金事務所にて確認してください。
額改定請求時に必要な書類は、額改定請求書、診断書(請求日以前1ヶ月以内の現症)、そして加算対象者(配偶者、子)がいる場合は生計維持確認資料(戸籍謄本・住民票の写し・所得証明書、等)が必要です。
【厚生年金保険法】
第五十二条 実施機関は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる。
2 障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。
3 前項の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合(下記、【厚生年金保険法施行規則】参照)を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による実施機関の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
4 障害厚生年金の受給権者であつて、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(当該障害厚生年金の支給事由となつた障害に係る傷病の初診日後に初診日があるものに限る。以下この項及び第五十四条第二項ただし書において同じ。)に係る当該初診日において被保険者であつたものが、当該傷病により障害(障害等級の一級又は二級に該当しない程度のものに限る。以下この項及び同条第二項ただし書において「その他障害」という。)の状態にあり、かつ、当該傷病に係る障害認定日以後六十五歳に達する日の前日までの間において、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害とその他障害(その他障害が二以上ある場合は、全てのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が当該障害厚生年金の支給事由となつた障害の程度より増進したときは、その者は、実施機関に対し、その期間内に障害厚生年金の額の改定を請求することができる。
5 第四十七条第一項ただし書の規定(保険料納付要件)は、前項の場合に準用する。
6 第一項の規定により障害厚生年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害厚生年金の支給は、改定が行われた月の翌月から始めるものとする。
7 第一項から第三項まで及び前項の規定は、六十五歳以上の者であつて、かつ、障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による障害基礎年金の受給権を有しないものに限る。)については、適用しない。
【厚生年金保険法施行規則】
(法第五十二条第三項に規定する厚生労働省令で定める場合等)
第四十七条の二の二 法第五十二条第三項に規定する厚生労働省令で定める場合であつて、障害の程度が障害等級の二級に該当する者に係るものは、障害厚生年金の受給権を取得した日又は同条第一項の規定による実施機関(法第二条の五第一項に規定する実施機関をいう。以下同じ。)の診査を受けた日のいずれか遅い日以後、次の各号に掲げるいずれかの状態に至つた場合(第五号に掲げる状態については、当該状態に係る障害の範囲が拡大した場合を含む。次項において同じ。)とする。
一 両眼の視力の和が〇・〇四以下のもの
二 両耳の聴力レベルが一〇〇デシベル以上のもの
三 両上肢の全ての指を欠くもの
四 両下肢を足関節以上で欠くもの
五 四肢又は手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害又は脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が六月を超えて継続している場合に限る。以下同じ。)
六 心臓を移植したもの又は人工心臓(補助人工心臓を含む。以下同じ。)を装着したもの
七 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至つた状態をいう。以下同じ。)又は遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が三月を超えて継続している場合に限る。以下同じ。)となつたもの
八 人工呼吸器を装着したもの(一月を超えて常時装着している場合に限る。以下同じ。)
2 法第五十二条第三項に規定する厚生労働省令で定める場合であつて、障害の程度が障害等級の三級に該当する者に係るものは、障害厚生年金の受給権を取得した日又は同条第一項の規定による実施機関の診査を受けた日のいずれか遅い日以後、前項各号に掲げるいずれかの状態又は次の各号に掲げるいずれかの状態に至つた場合とする。
一 両眼の視力の和が〇・〇五以上〇・〇八以下のもの
二 八等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野がそれぞれ五度以内のもの
三 両眼の視野がそれぞれ一〇度以内のもの、かつ、八等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野の合計がそれぞれ五六度以下のもの
四 両耳の聴力レベルが九〇デシベル以上のもの
五 喉頭を全て摘出したもの
六 両上肢の親指及び人指し指又は中指を欠くもの
七 一上肢の全ての指を欠くもの
八 両下肢の全ての指を欠くもの
九 一下肢を足関節以上で欠くもの
十 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう。以下同じ。)を装着したもの
十一 人工透析を行うもの(三月を超えて継続して行つている場合に限る。)
十二 六月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る。)を使用しているもの
十三 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行つたもの(人工肛門を使用した状態及び尿路の変更を行つた状態が六月を超えて継続している場合に限る。)
十四 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテーテルの使用又は自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう。)を常に必要とする状態をいう。)にあるもの(人工肛門を使用した状態及び排尿の機能に障害を残す状態が六月を超えて継続している場合に限る。)