死亡した夫の障害年金が請求できる場合があるってホント?
A 本当です。すでに死亡した本人の障害年金を受給できる場合があります。
またそのままでは遺族厚生年金を受給できる権利がない場合、障害年金を受給することにより遺族厚生年金を受給できるケースがあります。
では、すでに死亡した本人の障害年金を受給できる場合とは以下のように、障害認定日において障害等級に該当するケースです。
死亡した本人の障害年金が受給できるケース
※この場合、障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)の翌月から死亡年月までの障害年金が支給されます。
死亡した本人の障害年金が受給できるケース(障害認定日が5年超)
※この場合、請求年月の5年前(5年超の分は時効が成立)から死亡年月までの障害年金が支給されます。
以上のように、障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)時点で障害の状態にあれば障害年金が受給できます。
次に遺族厚生年金を受給できない場合についてですが、まず遺族厚生年金の受給要件は以下のいずれかです。
遺族厚生年金の受給要件(厚年法58条)
1.厚生年金保険の被保険者が死亡したとき
(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
※ただし平成28年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡月の含する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
2.厚生年金保険の被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
(保険料納付要件は1と同じ)
3.1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき。
4.老齢厚生年金の受給権者(25年要件を満たす者)または老齢厚生年金の受給要件(25年要件)を満たしている者が死亡したとき。
(注)遺族厚生年金を夫が受給する場合、妻の死亡当時55歳以上であるなど、遺族の要件があります。
上記の遺族厚生年金の受給要件2により厚生年金保険に加入中の傷病がもとであっても初診の日から5年を過ぎてから死亡した場合、老齢厚生年金の資格期間(納付済、免除期間が合わせて25年以上(上記受給要件4))を満たしていないと、遺族厚生年金は受給できません。
この場合、遺族厚生年金の受給要件3に該当するか(障害認定日請求)確認し、該当するようであれば障害厚生年金を請求しましょう。
また、3級の障害厚生年金受給権者が死亡した場合、直接死因の傷病と障害厚生年金の傷病とが相当因果関係にあるときには、1級または2級の障害の程度にあったとみなし、短期要件による遺族厚生年金が発生します(障害給付(障害厚生)受付・点検事務の手引き(H25年6月版84頁))
死亡した本人の障害厚生年金が受給できる場合(障害認定日が5年超)
※この場合、請求年月の5年前(5年超の分は時効が成立)から死亡年月までの障害年金が支給されます。合わせて遺族厚生年金の受給要件も確保できます。